Vol.14 花粉症発生源対策普及イベント

北薩森林組合通信 Vol.14

花粉症発生源対策普及イベントを開催

 

 全国林業改良普及協会は11月24日、鹿児島市内のホテルで花粉症発生源対策普及イベントを開催し、森林組合など森林・林業関係者50名が参加しました。

 イベントでは、林野庁から国の花粉症発生源対策、森林研究・整備機構森林総合研究所から花粉症対策に資する品種及びスギ花粉飛散防止剤の開発についての説明があり、鹿児島県からは、再造林の推進と優良苗木普及の取り組み状況についての報告がありました。

 

 1.林野庁における花粉症発生源対策

 飛散する花粉数の増加に起因するスギ花粉症は、昭和38年に初めて報告された。

 我が国の人工林の約7割(本県は約5割)を占めるスギ・ヒノキ林の樹齢25~30年から本格的に花粉を飛散させ、6~8月の日照時間が長く、気温が高いと翌年の雄花量が増加(花粉が多かった年の翌年は減少)すると言われている。

 スギ花粉症は、国民の3割が罹患していると言われ、社会的・経済的に大きな影響を与えていることから林野庁では、「伐って利用」、「植替え」、「出させない」の3本の斧からなる花粉発生源対策を推進し、国民の健康で豊かな生活・経済活動の回復に努めるとしている。


<花粉発生源対策「3本の”斧”」>

 花粉症対策に資する苗木の生産を加速化させ、平成44年度までに スギ苗木の年間 生産量に占める割合を、約7割にまで増加させる

 

第一の斧⇒花粉を大量に飛散させるスギ人工林を伐採・利用します。

 花粉を大量に飛散させるスギ人工林の伐採を進めます。また、伐採されたスギについては、住宅 に加えて、商業施設や公共建築物の木造化等に利用し、資源として活かしていきます。

 

第二の斧⇒花粉の少ない苗木等による植替えや広葉樹の導入を進めます。

 花粉症対策に資する苗木の生産増大に最優先で取り組み、スギの伐採 跡地への植栽を促進します。また、条件不利地においては、伐採後の広葉樹の導入等を進めます。

 

第三の斧⇒スギ花粉の発生を抑える技術の実用化を図ります。

 スギ花粉の飛散防止剤の開発・普及等、スギ花粉の発生を抑え飛散させない技術の実用化を図ります。

 


 

2.花粉症対策に資する品種の開発

~森林の保全・整備には、優れた特性を持つ林木の種苗を利用することが不可欠かつ品種改良が必要~

 

1)少花粉品種・・・雄花をほとんど着けない品種

※精英樹(これまで普及してきた林業用新種)から雄花の少ないものを選んで開発する。

 

2)無花粉品種・・・雄花はあるが花粉を全く出さない品種

※無花粉スギ「爽春」と精英樹の掛け合わせ⇒林育不稔1号・2号

 

3)特定母樹・・・雄花は一般のスギの半分以下。成長が極めて優れている

※平成25年に改正された「森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法」(間伐等特措法)に基づき、森林のCO2吸収能力を高めるため、農林水産大臣が特に成長等に優れ花粉の量が一般的なスギ・ヒノキに比べて概ね半分以下のものを特定母樹として指定し、普及を図る。

 

 
一般的なスギ・ヒノキ(右)と花粉の少ない品種(左)/国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 林木育種センターホームページより引用